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AIイラスト生成を試してみて分かったこと

いろいろと話題になっているAIイラスト。特に最近ではイラスト投稿サイトや販売サイトが大量作成されたAI絵で埋もれてしまう、などの問題が起きて、サイト側が相次いで対策を打ち出すという動きがありました。自分の作品を勝手にAIの素材に使われてしまうイラストレーターさんはもちろんですが、売り出し中イラストレーターや将来イラストレーターを目指す人たちにとっても深刻な問題ですよね。
また、ときどき「AIで無料で描けるのになんでわざわざお金出して買う人がいるの?」という疑問を見かけます。世の中には恐ろしくめんどくさがりでなんでもお金で解決しようとする人がそこそこいることはよく知ってますのでそこは私は不思議には思わないですけど。
と、そんなわけで物は試しということで、AI絵作成に手を出してみました。

AI生成イラスト

Stable Diffusion

AIイラスト生成にはスマホアプリを含め今はいろいろ種類があるのですが、その中で私がチョイスしたのがStable Diffusion
実はDiablo4発売が近づくにつれ、ブログを別に作ったほうがいいかなーと思うようになったので、それ用のイラストを作りたいという思惑がありまして。私に必要なのは萌え美少女ではなくてダークファンタジーなのです。で、こちらのオンライン版で試してみたところ、なかなか良さげなイラストがパッとできたので満足したこと。そしてダウンロード版も無料な上にもっと詳細な設定で絵を生成できると聞いてこちらに決めました。

苦労した点

インストールが大変

これだけ人気で大勢の人がやってるんだから楽勝だろうと思っていたら、まずインストールでつまづきました。
「あるソフトをイスストールするにはまず先に別のツール類のインストールが必要」というのはPCソフトあるあるなわけですが、そのPythonのインストールでつまづきました。けっこう時間かけてようやく解決できたのですが、実は私が参考にしたStable Diffusionのインストール方法を日本語で解説しているブログの内容が間違っていました…。
Googleで上に出てくるサイトは単なるよくクリックされているサイトであって内容が正しいサイトとは限らない。これ重要。

それでようやくインストールが完了してイラスト生成を試してみたのですが、実はまだ落とし穴が。

ハイスペPCが必要

「Web版では一瞬で小さいサイズとはいえ絵が4枚同時に生成されたのだから、ローカル環境にインストールしたらもっと早いはず」。
単純にそう考えていたのです、この時までの私は。
確かに、基本サイズである512×512pxの絵を作るのは割と早いんです。しかし、ローカル版は生成する絵のサイズを好きに変えられるのが最大の魅力だったのに! まず1024×768で生成してみたらメモリ不足でエラー。いろいろ調べて対策してから800×600で作ってみてもエラー。
どうやらStable Diffusionを安定して動かすにはグラボのVRAMが8G必要らしいんです。うちのGeForce、4Gしかないんですよ…。SimsとかMMDにはこれで十分だったので…。
うーん、今までハイスペPCといえばゲーマー御用達と相場が決まっていましたが、今はAI絵生成にも必要なのですね。よく分かりました。
AI生成は一発で良いものができることは稀で、何枚も生成させた中から良さげなものを選ぶのが基本スタイルとなるようなので、ますますスペックは重要です。一度に作る枚数が多いほど時間がかかるし、生成スピードはPCスペックに比例しますから。
ちなみにVRAM8Gあるグラボ積んでるPCというと、マウスコンピュータだと最安価格帯でこのあたりです。

179,800円(5月21日時点)。
ただ、ネット見てるとどうやら8Gでも大きな画像をガンガン生成できるってわけにはいかないようです…。

というわけで、分かったこと。
弘法は筆を選ばないが(ペンタブだけ買えばできる)、AI絵はめっちゃ高い筆が必須。萌え美少女作成には腕かお金、どっちかが必要なのです。
というわけで、最初に書いた疑問に答えが出ました。 ハイスペPC買って自作するよりも、完成品のAI絵を気に入ったものだけ買う方が安くつくのですね。

実際の作品と作ってみた感想

まあ、ないものは仕方ない。 私のプアな環境でも512×512の画像ならまあまあ手軽に作れるので、これで遊んでみることにしました。
小さい正方形で風景作ってもしょうがないので、結局は女の子の絵に挑戦することにしました。何より美少女絵は作り方の日本語解説が山のようにあるので!

ではまず最初に、Stable Diffusionの特徴。外国製ソフトなので、生成する絵の指定は英語しか受け付けません。
OK、それは大丈夫、むしろ得意!
Diabloブログ用ということで、まずはwizard's robe、spell book、dark fantasy landscape等、適当に思いついた英単語をぽんぽん入力して試してみました。
そしてインストール翌日に作ったのがこんな感じ。

AIイラスト
インストール翌日の生成

1日やっただけでそこそこかわいい絵ができてしまうのがすごい。背景もキレイなファンタジー風の建物などがスムーズに出てきます。
でもまだなんとなくぼやーんとしてるし、手に持った本の向きなどもヘン。

AI絵
インストール3日後の生成

更にもう1日頑張った結果。だいぶ狙ったのに近い感じの絵が生成できるようになりました。
ただやはり、AI絵作成は時間がかかる。もちろん私のPC環境のせいなんですけど。ここに載せた絵も、一度に数枚作った中から一番良いものを選んでいるので、ボツ作品は数多いです。特に鬼門なのが手。
マンガ家さんなどでも手を書くのが苦手という方がときどきいるようですが、AIも結局、手を描くのが苦手らしくて指の数がおかしかったりヘンな方向に曲がってたりする絵がやたら生成されます。ときどき腕や足そのものの本数も…。グロ…。
「人間が苦手なところをAIが補完してくれるのかと思ったら結局AIも同じものが苦手」って、なんかおもしろいですよねw

モデルによる違い

Stable Diffusionで絵を生成するには、モデルと呼ばれるAIの学習データが必要です。これも無料で多数配布されています。モデルの種類によって、生成されるのがアニメの女の子だったり実写風の女の子だったりCGだったり…、たまに風景もあるけどだいたい女の子ですねー…。
で、多数ある中から、Diabloのイメージになるべく合わせて手描きイラストタッチの女の子のモデルを2種類ほど選んでみました。
1つはAnime Pastel Dream。HardとSoftの2種類あって、Hardのほうがより手描きペイントタッチです。
もう1つはMeinaMix。Anime Pastel Dreamよりも主線が強いイラストが出力されるモデルです。

Stable Diffusionでは、生成する画像の内容を指示するキーワードを「プロンプト」と言います。プロンプトは2種類あり、通常の欲しい画像を示すプロンプトと、出力するなと命じるネガティブプロンプトがあります。
2日ほどあれこれ試してちょっとコツが分かってきたので、同じプロンプトでこの2つのモデルでどんなイラストが生成されるか試してみました。なお、モデルによって推奨プロンプトが決まっているものもあるので、それの分は違います。

ビィクトリアン・スタイル

まずは私の趣味全開で、ヴィクトリアン・スタイルなドレスとインテリアで。victorian dress, half-up hairstyle, victorian interior など指定してみました。
AI絵
Anime Pastel Dream soft

はい、かわいい子きました!
背景もちゃんとそれっぽいです。 とっても気に入ったので、もう1つはこの記事のトップに載せました。
まあこれはヴィクトリアンというか、現代のロリータドレス好きな人向けに作られたなんちゃってな感じの服ですが、まあそれはそれで。
そういえば、なぜか「ロリータ服」はキーワードとして不可なんですよ。「lolita」が受け付けない。もしかしたらアダルト対策でNGワードしてなのかも?
アダルト対策の為に、ファッション用語のロリータ・ドレスが使えないのは不便ですね…。


AIイラスト
Anime Pastel Dream hard

こちらはAnime Pastel Dreamのhardのほうで作成。少しペイントタッチになっている…ような気がする…。この絵だとあまり違いが出てないですね。目の塗り方が違うくらいかな。まあそこが重要なのでしょうけど。背景はSoftもHardも完全に同じタッチの模様。
ところで気になったのはヘッドドレス。この白いのがついてる絵が何枚も出来上がったんですよね。これはおそらく、Victorian maidなどのキーワードでメイド絵がたくさんデータに入ってるんだと思われます。で、Victorianというキーワードに引っ張られて出てくるのでしょう。
こういうのを出さないようにする為にネガティブ・プロンプトを指定する必要があるわけです。

AI絵
MeinaMix

次にMeinaMix。
うーむ、リボンの下にボタンの名残が…w。AI絵はいろいろな学習データを合成して絵を作るので、ときどきこういう事故が起きます。ときどきというか、かなり?
他は良いですね。主線ハッキリのアニメ調です。

ヨーロッパの名門私立校の女子生徒

SoftとHardはそんなに変わらないという結論が自分の中で出たので、ここからはモテル2つだけで比べます。

外国製のソフトなんだから外国舞台の絵を描いて欲しいよね!
ということで、名門ボーディングスクールの制服を描いて欲しくてPrivate school uniform, navy blue knitted vest with School Emblem, check skirt, check necktie, lawn school yard, brick school buildingなどのプロンプトが出力させてみたのですが。

MeinaMix

そのベストの丈はなにごと?!!
その後いくつも出力してみましたが、みな同ような感じでこんな丈か、もっとひどくてスカートの中にニットの裾をインしてる。
昭和のオッサンか?!!
このあたりで理解しました。外国のソフトとはいえ、AIイラスト生成ソフトの中身は日本のオッサンなのだと。
正確には日本のオッサンが描いた女の子の絵でできているのだと。 そういえば昔、MMDでもあったなあ。いわゆる「男性向け」に出てくる女の子モデルの服装がひどくダサいのが多くて女性視聴者たちから「女の子のキャラなのにかわいそう」「もはやキャラクターの女の子に対する虐待」などとコメントが溢れてました…。
だから背景にヨーロッパの学校など1つも出てこないのも仕方ないのです。スクールヤードが無理なのかと思ってただのlawnにしてみたけどそれでも出てこない。
うん、だって日本で芝生なんて米軍キャンプがゴルフ場くらいしかないもんね。どっちも美少女絵に縁がないもんね。
仕方ないのでベストは諦めてブレザーにしてみました。

MeinaMix

紺ブレザーは出てきたけど、その金ボタン、高校の制服じゃないよね。 どっかのお仕事の制服だよね…。 もう諦めてこれで妥協して次に行きます。

Anime Pastel Dream Soft

おおおー、Anime Pastel Dreamだとちゃんと! 欧米の名門学校っぽい背景が出る! レンガの校舎と芝生の中庭!! すばらしい!
けど今度は制服が…。どれもこれもセーラー襟がついている。
どうやらuniformというワードが超強力に働くっぽい。「女の子の制服といえばセーラー服でしょう」というホント昭和のオッサンか! という思考の蓄積なんですねイラスト生成AIって…。
実際、ロリータは仕方ないにしてもファッション用語に関するニブさがひどい。例えばカシュクール(Cachecoeur) は駄目なのでwrap dressにしてみたら和服が出てくる。ほんとファッションの話が通じないオッサン相手してる気分になります…。
仕方ないのでここではネガティブプロンプトにsailor collarを入れて解決。

Anime Pastel Dream Soft

飽きてきたので髪色の指定をblondeに変更。
襟がおかしいけど、これくらいなら修正すればOK。Stable Diffusionに、マスクをかけたところだけ再描画で修正する機能があるのですが、こういう単純な修正ならむしろフォトショで手作業で直したほうが早そう。何しろ512×512サイズしかない小さい絵なので…。


サマー・バケーション

お次のテーマは海辺のリゾートでの夏のバカンス。sundrese, wide-brimmed hat, Europe beach resort, summer sunlight等、ヨーロッパのビーチリゾートをイメージしてキーワードを入れたのですが…。

Anime Pastel Dream Soft

はい、一発合格! かわいい!
wide-brimmed hat としか入れてないのに、summerというワードを反映してか麦わら帽子が出てきました。
ただ…。ヨーロッパのビーチではないですね、どれも南の島っぽい背景でした。私としては南仏とかをイメージしたのですけど…。
やはり日本のオッサンにニースやモナコは守備範囲外だということか…。


MeinaMix

はい、こちらも一発でちゃんと来ました。
どちらのモデルも、頭のサイズと帽子のサイズが若干合ってないという問題はあるのですが、まあそのへんがまさにAI絵の弱点ということなのでしょう。
サンドレスっぽいのををちゃんと着てるのはsundressというワードが正しく反映された結果か、dressとsummerを拾ってAIが夏のイラストによく出てくるドレスを選択した結果なのかは分かりませんw

ホットパンツのチアリーダー

最後のテーマはこれ。That's アメリカン女子高生(個人のイメージです)ということで。ホットパンツ指定なのは、パ〇チラを見たくないのと、私が個人的にダラス・カウボーイズのチアリーダーのユニフォームがThe USA ぽいと思ってるので。いやすごいですよねあのユニ。
というわけで、cheerleader uniform, ponytail, school logo on front, pom poms, stadium, summer day, blue sky などのキーワードで生成してみたのですが。
再び起こるセーラー服の呪い。そうでした、uniform というワードは呪いのワードなのでした。なのでたたのuniformにして再チャレンジ。

Anime Pastel Dream Soft

はい、よくできました。
よく考えたら上半身だけだからホットパンツ指定はいらなかった…。

MeinaMix

はい、こちらもかわいい子きました。ちゃんとスタジアムの背景もありますね。
ただ、ポニーテールをまとめるヘアアクセのあたりに若干のメイドさん要素が見える気が…。

今のところの結論:AI絵作成は、セーラー服とメイドさんとの戦いです。

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